カムイ渡り


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 海氷風景はいろいろありますが、凍湖の表情も多様です。そのなかで特に迫力あるのが御神渡り(おみわ

たり)。寒暖の繰り返しで湖に蓋をしていた氷に亀裂が入り、そこに湖水が溢れて凍り、隆起が成長して

いきます。

 諏訪湖周辺の人が湖にできたこの種の隆起に、諏訪神社に渡る神々の足跡を想像したのが、御神渡

りという言葉の始まりみたいです。アイヌが冬の屈斜路湖を見て似たような想像をしたとすれば、カムイ

渡りと呼んだでしょうね。

 透明で青みがかった氷が折り重なって、1メートル以上の高さに盛り上がっているのはみごとです。断

面を隠してなだらかにする雪が積もったり、隆起が低かったりすると、あまり魅力のない風景になりま

す。今年は屈斜路湖の岸近くでかろうじて、上のような写真を撮ることができました。

 気体炭素濃度の増加とそれによる気候温暖化は、すでに引き返し可能なポイントを越えました。いつ

かこの湖に、まったく御神渡りができなくなることは確かです。現れずに終わったり、規模が小さかったり

する年が増えて、100年とか200年とか後には、この現象を見た記憶のある年寄りもいなくなっている

でしょう。そのころには、プリントされてきちんと保存されているもの以外、デジタル映像も再生できなくな

っているかも。デジタル機器の規格変化は気候変動より速いから。