湿原の小さな花たち
5月13日 釧路湿原温根内
もともと温根内遊歩道は人工的な公園のような華やかさはないのですが、春
とはいえ五月半ばはまだ枯れ葦と若緑が主役で、見られる花はわずかです。とり
わけ、ほとんど木のない湿原部分の木道は、よほど注意深く両側を覗き込まない
と花に気づきません。
一つが5ミリほどの小さな壺状の花を連ねているのはホロムイツツジ、別名ヤ
チツツジです。とても地味で、初めは枯れた花殻かと思いました。拡大してみると、
色はちがうけれど、ヒメシャクナゲの花に似て整った形です。
ここのイソツツジは咲いても他の場所のより小ぶり。まして固い蕾は、通る人の
視線を惹きつけることはありません。三枚目はツルコケモモだと思うのですが、ほ
んの小さな蕾なので確信がなくて。咲けば反り返った花びらでわかるのだけれど。
軌道敷跡や灌木林の浅水域では黄色い花が目立ちます。ほとんどが猿猴草で
すが、ネコノメソウが集まる場所もありました。ネコノメソウと言っても、網走湖畔や
常呂遺跡の森のより花色がずっとあざやかです。同属のエゾネコノメソウ(カラフト
ネコノメソウ)でしょうか。
駐車場に続く林の乾いた林床では、オオバナノエンレイソウがあちこちで白く輝い
ていました。長寿効能があるという話も目にしたことがありますが、単に名前からの
類推でしょうね。だけどこの花自体は、五月初めから7月初めまでの長期間、どこか
しらで目にします。確かに開花期は長いようです。