残氷の海に飛ぶ


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 3月下旬の寒い朝、岬の海にまだ残る海氷の上を、たくさんのカモメが飛び交っていました。海が開け

て、岸近くで漁ができるようになったのを喜んでいるように。

これからの温暖期・数十万年の見取り図 
 
 7 コメント〈前〉

 『10万年の未来地球史』を駆け足で要約してみました。最後にわたしのコメントをいくつか。
 
 ① ヒトの営為はすでに地質学的な地球史の行方を左右する要素のひとつになってしまって

いる、この認識はわたしにとってけっこう衝撃的でした。間もなくヒトがすべて死に絶えたとして

も、気温も海面も上昇を続けます。ヒトが排出した温室効果ガスが海水や岩に吸収されるまで

には数千年、あるいは数万年かかります。「ありのままの自然」が回復するのはそれからで

す。回復はヒトがいなくなってからのことであれば、「ありのままの自然をだいじに」とか「自然

破壊を防ぐ」とかの言い方には、もう意味がありません。〈母なる自然の懐に抱かれて安らぐ〉

みたいな、受動的・依存的な願望は幻想になってしまいました。

 選択肢は二つ。ひとつは、わたしたちが地球になしつつあることに目をつぶって、好き勝手に

ふるまい、そのつけをヒトの子孫と他の生物に払わせること。そうでなければ、わたしたちのど

んな行為が地球にどんな気候と生態系をもたらすかを意識した上で、行動を選択する。

 とはいえ、わたしたちは自然の物理法則を変えることはできません。光より速く情報をやり取

りすることも、重力の作用しない人工物を作ることも。できるのは、自然法則をより深く細かく理

解した上で、その理解に沿って、わたしたちがよりよいと思う方への環境変化を促すことだけで

す。この選択肢は、ヒトが能動的に自然(法則)の一部になろうとする道なのかも。
 
 ② 温暖化より氷河期の方がヒトと他の生命にとって何倍も苛酷、意図的に温室効果ガスを

排出することで氷河期を回避できる。これは、わたしも漠然と考えていたことです。でも専門家

のそういう発言に接したのは初めてです。

 今わたしたちがいるのは、現生人類以前のわたしたちの祖先が、何度も氷河期と温暖期を

生き延びたから。そして、現生人類が最終氷河期を乗り越えたから。それが可能だったのは、

自然物から衣食住の手段を獲得する道具と技術を改善できたほかに、よりよい環境を求めて

移動できたから。移動できたのは、当時の世界人口が少なかった〈紀元前1万年で400万人ほ

?〉から。いまヒトは南極以外の陸地のほとんどすべてを埋め、その数は70億人に届こうとし

ています。〈明日に続く〉