弥生三月光る海


イメージ 4

イメージ 5

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 6

イメージ 1

 残氷の海に光が射し、水面が光っています。晴れた早朝ならどの季節でもまぶしい海だけれど、海氷の支配

が終わったすぐ後だと、はなやぐ春の予兆のように感じられます。他は能取岬で、最後の一枚は帽子岩が見え

る網走の海岸で撮りました。


これからの温暖期・数十万年の見取り図 2
 
 1 アンソロポシーン(人類生)―承前
 
 熱帯でも湿潤化が進む地域の人々は、上昇する気温に適応できる。温帯の経済力があ

る人々は、堤防を築いたり移住したりして、海進・高潮・洪水に対応する。グリーンランド

人々や北極域を国土にもつ国々は、氷床の後退で産業が発達し、その上北極海航路が開

けるので、繁栄を謳歌する。

 だが勝者がいれば敗者もいる。熱帯や温帯で、乾燥化が進む地域、海進・洪水で水没す

る地域にくらす貧しい人々は、襲い来る惨禍を逃れられない。極地に適応していて後退す

る氷床を追って逃れようとする生物、酸性化した海で融ける殻をもつ貝やプランクトンなどは

絶滅する。絶滅した種は永遠に失われ、そこから伸びるはずの進化の枝は途絶える。
 

 2 氷河期
 
 すでに始まっている温暖化を押しとどめることはできない。だが、化石燃料消費をやめる

ことで、変動のピークを低くすることはできる。そして、高温期からの回復を50万年とか10

0万年とかではなく、数万年に短縮することはできる。それによって、人や他の生物の被害

を最小限にとどめなくてはならない。

 とはいえ最悪の温暖化でも、全面的な氷河の発達よりは生物の被害が小さい。「地球規

模で見れば、氷河期を地球温暖化と比べるのは、水爆戦争をバーでの口論と比べるような

ものである。」(44) 寒冷化は人為と無関係に、楕円軌道を描いて公転する地球の運動

から起きる。回転の際の横揺れ、かしぎ、偏心振動の周期が複雑に絡み合って、地球に氷

河期と間氷期が訪れる。

 5万年後には氷河期が来ると計算されていた。しかし今進みつつある温暖化が、地球の

運動による寒冷化の効果を上回るため、この氷河期はなくなった。地球が蓄えた化石燃料

を急速に消費し尽くす最悪の温暖化だと、次の13万年後の氷河期、さらには50万年後の

氷河期もなくなるかもしれない。しかし100万年後には確実に氷河期が来る。

 氷河期が始まるとき化石資源が残っていれば、計画的にそれを燃やして、再び氷河期を

回避できる。今性急に消費し尽くせば、将来の人類からその手段を奪うことになる。好むと

好まざるとにかかわらず、人間活動が地球環境を左右する時代が始まっている。それがア

ンソロポシーン(人類世)だ。われわれは長い将来を見据えて、現在の行動を冷静に決めな

くてはならない。(明日に続く)