流氷去って


 デジモナさん、フィルターは1万円前後だったような。

原因不明のネット接続不良に悩まされていて、早い時間だと割合具合がいいので、つい早くなってしまいました。

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 ちょうど一週間前に能取岬で撮った風景です。青緑の海が、ずいぶんひさしぶりの気がして、印象的でした。陰

になる西の崖には海氷も氷雪もまだ残っていますが、それでも波が砕けて飛沫が輝いていました。


               これからの温暖期・数十万年の見取り図
 
 現在進行中の人為起源の地球温暖化はもう後戻りしない。それは理解できるように

なりましたが、温暖化した世界がどうなるのか、疑問がわだかまってもやもやしていた

ところに、それに答えてくれる本が出ました。カート・スティージャが書いて小宮繁が訳

した、日経BP社の『10万年の未来地球史』(2012年11月発売)です。何回かに分け

て、この本の内容に沿って書いてみます。煩わしいので、伝聞を示す語句は省略しま

したが、斜字にしたわたしのコメント部分以外は、すべて同書に拠るものです。著者の

意に添って要約するように努めます。それでも、区分けや要約する部分の選択に、わ

たし個人の関心が反映しています。なお〔〕内はわたしが付けた補注です。
 
 1 アンソロポシーン(人類生)
 
 地質時代区分では、洪積世(プレストシーン)〔200万年前からの、寒冷な氷河期

優勢な時代〕が終わった1万1700年前以後は、完新生(ホロシーン)と呼ばれ、

穏やかな気候の時代だ。近年、1700年以後を完新世から区別する、アンソロポシ

ーン(人類世)という新しい地質用語が広く受け入れられるようになった。

 いままですでに、膨大な数の生物種がヒトの行動が原因で絶滅している。現在進

中の種の絶滅は、地球史上未曾有の速さである。そしていまヒトが空中と海洋に

放しつつある炭素の影響は、未来数万年から数十万年間は続いて、ヒトと他の生

に惨禍をもたらし続ける。
 
 またヒトはたくさんの生物種の棲息地域を変えている。わたしたちの身の回りにあ

る動植物や海洋生物の多くは、はるか彼方から人が持ち込んだものだ。アンソロポ

シーンは、人為ではない「自然」がなくなった時代だと言う人もいる。いまやヒトの思

考や欲望が強力な環境要因になっている。

 それでもこれから長く続く温暖化で、人類が絶滅することはない。最悪のケース

は、われわれが温室効果ガス排出削減を怠って、化石燃料〔いま注目されているシ

ェールガスや、最近日本で試掘に成功したメタンハイドレードも含む〕を急いで消費し

つくすことだ。だが、地球にあってヒトが解放できる炭素原子の数には限りがあるの

で、地球が炎上するようなことにはならない。

 温室効果ガス濃度がピークを迎えるのは数百年後。それより遅れて気温が、さら

には海水温が頂点に達し、海水準が最も高くなるまでには千年以上かかる。その後

も、二酸化炭素が溶けた海洋は酸性化が進む。個人の生涯時間に比べればずっと

ゆっくりした変化なので、適応力に富むヒトは生残る。変化のピークは何千年も持続

する。その後の回復過程はとても遅いから、産業革命前の気候に戻るまでに、数万

年から数十万年かかる。(この項明日に続く)