うす暗い氷原


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 一口に流氷と言っても、その姿は多様です。凪ぎの海面と見まがう薄氷と岩だらけの荒野を思わせる厚い氷。

波のない海面のように滑らかな場所も、激突して乗り上げ重なり合っている場所もあります。雪をかぶっ

た小山だったり、ほの青く光る断面が現れていたり。漂う氷塊にしても、厚くて大きい板のように平らなも

のや、なにかの動物か船みたいに造形されているものがあって、大きさもさまざまです。

 視界の限りに広がる同じ大氷原でも、天候がちがうとまったく別な世界になります。明るい光が満ち

ていると、心が開放される気分です。降る雪や霧でうす暗い空の下では、恐怖心や心細さが湧きます。

昨日の明と今日の暗、対照的な二つのドラマのために背景を変えられる舞台のような。いまその舞台に

幕が下りようとしています。再び開くのは10ヵ月後です。