露の玉


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 秋は露の季節。昼は暖かいので地中の水分が活発に蒸発し、冷え込みの強い夜の間に細かい水滴になり、

樹や草の葉に付着します。早朝の低い陽が射すと、まさに滑り落ちよう、滴り落ちようとしている透明な水玉が、

かすかな色を帯てきらめきます。


  わが背子を大和へ遣るとさ夜更けて暁露にわが立ち濡れし(大伯皇女―万葉集)   

 露は万葉の昔からそこはかとない不安の象徴だったのですね。立ち去るいとしい兄弟を見送る女性のやるせ

ない気持。それが裾を濡らす露の冷たさに重ねられて、わたしの心にも沁みてきます。


  露の世は露の世ながらさりながら(一茶) 

 人生はまさにこぼれ落ちようとする玉露のようにはかないことは知っている。それでも味わい、楽しみ、生きる。

老境にある身を代表して詠ってくれいるような句ですね。