砂丘に花がいっぱい









 オホーツク海と濤沸湖を隔てるのは、海風が小清水海岸に作った砂丘です。海側の斜面は緑がまばらで、
 
湖畔へ続く反対側の斜面は背の低い潅木と、ほぼ同じ背丈の草に覆われています。そのなかを、網走から
 
斜里を経て根室にいたる国道244と釧網線の線路が貫いています。7月半ばは、北浜駅と原生花園(夏の臨
 
時停車)間の国道側砂丘がいちばんはなやぐ季節です。主役はエゾキスゲとエゾスカシユリ
 
 エゾキスゲはたくさんのつぼみを付けて、早朝に開いた花が午後にはしぼみ、翌朝は次のつぼみの出番で
 
す。それを毎日繰り返し、ここでは6月半ばからほぼ一ヶ月間咲きつづけます。花の時季がエゾキスゲに少し遅
 
れて始まり、そのかわり8月までつづくのが濃いオレンジ色のエゾスカシユリ。花弁の根元が重なり合わず、少し
 
隙間があります。透けているからスカシユリ。海岸草原から内陸よりの道路際まで、夏の郊外を車で走っていて
 
いちばん目に付く野の花です。