湿原のイソツツジ
はびっしり密集して広がっていたのに、湿原では株と株のあいだが離れています。冠水しているところには根付
かず、谷地坊主のように比較的盛り上がって乾いた凸部でだけ育つからでしょうね。育っても背丈はあまり伸び
ません。白い花がなければ、きっとスゲなどの草に埋もれている枝葉には気付かずに通り過ぎます。
原野でのように風景の主役になることはなく、荒涼たる湿原に変化をつける脇役というところ。それでもクローズ
アップにすると、それなりのはなやぎがあります。開いた花弁は白一色ですが、おしべの先端にはかすかにオレ
ンジがかった色彩があり、めしべの子房が緑色だったりするので、単調なだけというわけでもありません。蕾が残
っているとピンクがかって見えるのですが、この日(6月19日)にはほとんど開ききっていました。
ちなみに谷地坊主とは、根茎の発達したスゲが雪解け水による土壌流失を防いで、坊主頭に似たかたちで盛り
上りっているところのことです。