湿原に芽吹く緑
林床で下草の緑が深まり、柳の若芽が囀る小鳥の姿を隠す季節です。それなの
に釧路湿原の芦原は、まだ灰褐色が主役です。それでも枯草の根元で、ヤチボウ
ズの頭に緑が芽吹いています。背の低い芽生えの先端に、もう穂が着いているボ
ウズもありました。軌道敷跡の遊歩道では、丘の裾に濃い緑。目立つのは、若い蕗
の葉とくっきりした葉脈のコバイケイソウです。
歩きはじめたのは9時前。駐車場に他の車はなく、軌道敷跡を行く間、誰にも
会いませんでした。鶯とアオジの鳴き声に包まれて、半年以上ご無沙汰した湿原
を独り歩いていると、懐かしいような落ち着くような。湿原展望台への道は壊れて
いて通行止め、の告知があるところで、芦原を横切る木道に入り帰路に就きまし
た。しだいに行き交人が多くなります。あまり花のない季節だから訪れる人がいな
いのかと思っていましたが、ただわたしが少し早かっただけのようです。