そらさん、白いエプロンをしたような胸、ふさふさした尻尾、祈るときのように合わせ
た手。それで黒い大きな眼で見つめられると、自然に微笑んでしまいます。
市街方向の西空は、わずかに赤味があるだけで闇が優勢です。南東方向は雲
がえんじ色に輝き、雲のない部分が少し青っぽくなりかけています。黒くたなびい
ているのは製粉工場の煙。今は昼も夜も操業しているようです。季節が進むと煙
が上がらなくなります。刈り入れて運び込まれた麦が尽るからでしょう。ぬくぬくと
とした屋内から出た身に、土手を渡る風の冷たさが染みてくるころには、雲の輝き
が薄れ、空の青味が増しています。