きらめく緑 巨大カルデラ噴火5


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                       5月24日 美幌峠弟子屈側下り道

 10日前に美幌峠から弟子屈側に下る途中で、美しさに思わず車を停めて撮っ

た風景です。朝陽にきらめく若緑を、湖水と白い幹や雪渓が引き立てていました。

日に日に街の緑が濃くなっています。峠道もそろそろ夏の気配でしょうか。


巨大カルデラ噴火 5

 

 もう一つわたしの楽観に影を落とすのは、原発の存在です。火砕流


撃が予想される九州・四国には3か所あります。その他の原発も、降灰

に埋もれ、職員に死者が多発し、電源・冷却水が断たれ、全国的な混乱

で外部からの支援を期待できなくなったとき、放射線源を安全に管理で

きるとは思えません。口永良部の通常噴火はきちんと予知されていませ

んでした。まして、静かに大量のマグマを蓄積している巨大カルデラ

火の予知は、まず望めないでしょう。不意に、あるいは山体噴火と思っ

ていたものから始まって、巨大カルデラ噴火が起きたら。

 放射線に汚染された瓦礫・火山灰に覆われ、水や空気も汚染された列

島全体が、人の近づけない荒野になりそうです。偏西風に乗って、吹き

あげられる火山灰とともに、放射物質が世界各地の上空に届き、食品を

汚染させます。福島原発事故だけで、台湾は日本食品の輸入を禁止しま

した。チェルノブイリ原発事故による放射線は、いまなおヨーロッパ

の人々を警戒させています。福島の事故に懲りることなく維持・再稼働

させる日本の原発のほとんど全部が、放射物質拡散装置になるかもしれ

ません。そうなれば、列島が無人の荒野と化すだけでなく、長い将来に

渡って世界中の人々の安全を脅かし続けます。

 全面核戦争になれば、地球に何年も「核の冬」が続き、ヒトは絶滅す

るでしょう。でも、数発の核爆弾の爆発なら、50基以上の日本の原発

のほとんどか爆発するよりは、まだましかもしれません。広島と長崎は

原爆を投下された後、比較的短期間で繁栄を取り戻しました。チェルノ

ブイリと福島の原発跡地は、いつになったら人が立ち入れるようになる

のか、見通しがつきません。この違いの理由を知りたくて、少し調べて

みました。

 広島や長崎で、爆発によって放出された放射性物質の総量は、チェル

ノブイリ事故の400分の1と言われています。原爆は少量のウラン・

プルトニウムを一気に爆発させるため、その瞬間の放射線は強烈でも、

残滓の放射性物質はたいした量ではありません。ところが原発は、何ト

ン、何十トンもの核燃料を長時間反応させます。万が一のときは、反応

中や反応前の燃料だけでなく、大量に蓄積されている使用済み核燃料

も、汚染された瓦礫や廃棄物も、むき出しの放射線源になります。

 福島原発事故で放出された放射性核種のうち、半減期が長いのは、併

せて64億ベクレルになるプルトニウム240と239です。半減期

は、それぞれ6537年と2万4065年です。これらは放射性ヨウ素

などが出すβ線より20倍毒性が強い、α線を出します。190億ベク

レルが放出されたプルトニウム238(α線)は、放射線量が半分になるま

でに87.7年。1.5京ベクレルのセシウム137(β線)は30

年。1.2兆ベクレルのプルトニウム241(α線)は14.4年、などと

なっています。

 プルサーマル発電は、プルトニウムとウランを混合したMOX 燃料を使

用します。もしこの発電が実施され、巨大カルデラ噴火で原発の管理保

全が行われなくなったら、それぞれの半減期が7億年と45億年の、ウ

ラン235と238が放出される可能性があるのではないでしょうか。

5億年後には地球のH2Oがすべて蒸発し、多細胞生物は姿を消すという説

があります。これが正しければ、ウラン235と238は、無人の地球で

放射線を出し続けるわけです。(続く)