風香る鈴蘭の花 巨大カルデラ噴火 最終回


 サイタマンさん、現代物理学の理論では、宇宙は無からたまたま生まれたという説

が有力なようです。地球史・生命史・人類史・国や個人の歴史にも、必然的・法則的

な動因の他、さまざまな「たまたま」が作用しているんじゃないでしょうか。

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                             6月2日 ウチの庭

 昨日から冷たい雨で閉めきっていますが、それまでは庭に下りたり窓を開けた

りすると、香りが漂ってきていました。濃く薫るのは短い間です。晴れている間に

何本か摘んで、室内に入れておけばよかったと、悔やんでいます。この2日間で

花が終わっていなければ、まだ間に合うかも。明日には晴れ間もあるでしょう。


巨大カルデラ噴火 6

 
 数千年後には世界は大きく変わっているでしょう。そのこ


ろ列島を襲う巨大カルデラ噴火がどんな意味を持つか、想像


もできません。でも近々、列島住民の9割ほどが死亡し、日


本国が消滅するようなM8台の噴火が起きるとすれば、世界


の文明化後で最初の巨大自然災害になります。人為で抵抗で


きない天変地異による、世界第3位の経済大国の消滅は、世界


各国の人々に大きな衝撃を与えると思います。もしかすると人


々は、世界史における坑道のカナリアとして日本が滅んだ


と、語り合うかもしれません。


 これまでも、広島と長崎の原爆による惨劇は、核戦争発生を


防ぐうえで一定の役割を果たしてきました。ビキニ岩礁の水爆


実験による第五福竜丸放射線被爆は、地表核実験禁止の機運


を促進しました。福島原発事故は、少なくともドイツでは、原


発廃止を決定するきっかけになりました。日本列島住民はすで


に3度、望んだわけでもないのに、身をもって大きな災難の到


来を国際社会に警告する、カナリアの役を演じています。

 巨大噴火の可能性があるカルデラは、日本列島以外にもあり


ます。噴火でなくても、亢進する地球温暖化による環境変化


で、きっといくつもの国が国家存亡の縁に追いやられます。実


際にリアルタイムで目の当たりにする日本の滅亡は、世界各地


の多くの人々に、巨大な財力でも軍事力でも抗しえない自然力


を強烈に意識させ、生活スタイルと価値観の見直しを迫ること


になるでしょう。日本の、国を代償とする4度目のカナリア


警告は、これまでの3回とは比較にならない大きなインパク


を世界に与えると思います。富と地位・国威と軍事力を競い合


って、少数の勝者と大多数の敗者を生む世界のむなしさ。今生


きて在ることのありがたさ。万人が食と性の欠乏に苦しむこと


なく、美と知を磨き合ううれしさ。それらへの気づきを促すこ


とになる、と思います。


 食と性は生の基本です。食の欠乏と性的飢餓は人の心の奥底


にある野蛮な本能を呼び覚まします。食が足りて性の抑圧を知


らない社会だけが、平和主義を貫き富と地位をめぐる競争を超


越できます。現在の世界は、食の偏在は正すことはできていま


せんが、いくつもの地域が性の宗教的抑圧からは解放されてき


ています。しかしそこでも、経済的格差と拝金主義と序列意識


が性をゆがめています。そのため、性的欠落感(しばしば意識に


上らないまま)に駆り立てられ、他人を貶めたり、憎悪をまき散


らしたり、暴力衝動を解き放ったり、権力競争に溺れたりする


人が跡を絶ちません。


 渡辺京二の『逝きし世の面影』によると、江戸時代まで、こ


の国の庶民は、おおらかな性を謳歌していたようです。明治以


後に、上層に限られていた家内隷制倫理と抽象的な「愛」が庶民


に浸透しなければ、今ごろ、北欧などに先駆け、性解放の最


先端にあっただろうにと、残念です。ところで、わたしが言う


性は、異性・同性間の性器接触だけでなく、親子・血縁者・友


人・仲間など、二人の個人が対したときに生まれる、一対一の


親和的な情緒を基調とするすべての関係です。


 日本国の崩壊と生き残った人々の世界各地への離散をイメー


ジすると、世界への警告を残して滅んだカナリアは美しかった


と、偲んでもらえる国と民であったらよかったのにと、思わず


にはいられません。占領軍から押し付けられた戦争放棄憲法


を奇貨として、最後までどんな戦争にも加担せず、平和の理想


を頑固に守り抜いた。優れた科学と技術、洗練された産業と文


化がありながら、政・官・財・学の各界指導者はそれを自分の


功績として、巨額報酬を求めたりはしなかった。拝金主義と権


力競争が蔓延する世界に抗して、自然の動植物や繊細な景観と


の交歓を喜び、素朴なくらしとおおらかな性を大切にする。そ


んな高潔な民であった、と。


 東日本大震災の後、貞観地震の先例が注目されました。この


ときわたしたちは、過去に起きた自然現象はこれからも起きる


という考え方を、しっかり身に着けなければいけなかったのだ


と思います。過去1万年で、7600年前と7300年前に3


00年の間隔で2回、日本列島は巨大カルデラ噴火に見舞われ


ました。10世紀の十和田カルデラで、通常の山体噴火の規模


を超えそうな噴火が起きています。7000年余静かにマグマ


を蓄積している可能性、それに東日本大震災による地殻変動


火山活動の活発化の可能性を考えると、破局的な噴火の可能性


は小さいとか、十分に予知できるから、原発は安全だなどとは


言えないはずです。それでも安倍政権と財界は原発を維持


し、再稼働させようとしています。

 東日本大震災後の原発事故がなかったら、いまごろ被災地の

どこでも、人々は再建にいそしんでいたでしょう。しかし実際

には、半永久的に封鎖され、復興などできない地域が残ってし

まいました。そして海への放射性物質の漏出も、完全には停ま

っていないようです。

 近い将来巨大カルデラ噴火で日本の国家機能が破綻し、列島


各地の原発から空と海に放射性物質が垂れ流される事態になっ


たら!支援する気のある外国の人々も、火山灰で道路も空港も


港も使えず、陸には放射性物質を含む火山灰が厚く積もり、海


域が高濃度放射性物質に汚染され、空に汚染雲が漂う列島には


近づけません。辛うじて生き残った住民が外国に逃れようとし


ても、世界の海と空を放射性物質で汚染している国の民に


は、けして好意的な眼差しは注がれないでしょう。


 そういう事態になれば、安倍晋三という人の名は、日本を国


家再建の不能破局に導き、世界に核汚染の恐怖を振り撒いた


指導者として、世界史に刻まれることになるかもしれませ


ん。(終わり)