アカゲラとゴジュウカラ


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   どちらもこのあたりの森に多い鳥です。だけと今年はまだ、これ以外アカゲラを撮

れていません。木をたたく音は聞いているし、ちらっと姿を見かけることもあります。

でも撮れなかった。

  ゴジュウカラは森の小鳥で一番撮りやすいかな。割合近くまで接近を許してくれま

すから。両方とも屈斜路湖和琴半島です。

   鶯は鳴き声がもう一人前になっています。何度か、声がする木のすぐ近くまで行き

ました。でも、姿を捉えられなくて。今年は撮る機会があるかな。

                           小説 縄文の残光 51
 
                                          オマロ(続き)  
 
   ここしばらく秋晴れの日が続いた。摘んで筵の上に広げていた稲や粟の穂もよ

く乾き、広場の片隅にある高床式の倉庫に収まっている。今日は西空に夕焼け雲

が少ない。明日もいい天気だろう。オマロはそう思い、姉が嫁いだイズナの小屋を

覗いた。

   姉のセコナは竈(かまど)で何か煮ている。イズナの母のフレトイは、女衆のまと

め役。いま囲炉裏の脇で、重ねた袋を点検している。燃える薪の炎に透かし、破

れ目を見つけては、手早く繕う。

    「フレトイ、明日女の人たちは山に入るんだろう?オレも連れて行ってくれ」

    「おや、お前は狩じゃないのかい」

    「エアチウは今朝、ヨシマロをつれて閇伊へ出かけたんだ。他の組に混じるの

も何だかね。それに今度の成人儀礼が終われば、女衆と山へ入ることもなくなる

し」

    「そうかい、いいよ、一緒に来な。ほかの男の子も行くけど、お前は一番大き

いから、自然薯(じねんしょ)を掘ったり、木の実をどっさり詰めた袋を背負ったり、

役に立ちそうだ。夏の間に当たりを付けてあるから、長芋がたくさん採れるよ。

   そのまま食べられるオニグルミが一袋。鍋で炙るだけでいいクリ、ブナ、ツノハ

シバミ、スダジイの実は別な袋に。水に晒して粉にするカシワ、ミズナラ、コナラ、ト

チ、クヌギの実にも一袋。それに、エビヅル、ヤマブドウアケビもあるし。キノコ

も採りたいね。袋がたくさんだから、運び手が増えれば助かるよ。お前、自然薯の

堀棒を担いで行ってくれるかい。

   ところでオマロ、エアチウは何で閇伊なんかへ行ったんだい」

    「アテルイに預けられた鍬の刃やら刀子やらで、交易をもちかけるんだって。そ

れでつながりを作って、だんだん気心が知れるようになったら、ヤマトとの戦いで

力を貸してもらう話しをするつもりらしいよ」

    「鉄の道具はみんな欲しがるし、アテルイの集落には鍛冶場があるからね。う

まい考えだよ」

   冬眠前の熊が活発になる季節である。女たちの目当てが獣の好きな木の実や

果実だから、鉢合わせする危険がある。大勢で賑やかにしていれば、熊の方で

避けてくれる。次の日は幼い子を足腰の弱った年寄りに任せて、他の女と子ども

が総出で森へ繰り出した。
 
    「オマロ、お前は来年成人儀礼だって。もうあそこに毛は生えたか?」

   尻軽と評判のメライケは、相変わらずの物言いだ。

    「あたり前だ、もうお前のいい男より立派だぞ」

    「どれ、見せてみろ」

    「いやだよー、この好き者が」

    「ス・キ・モ・ノ、ス・キ・モ・ノ」子どもたちが声を揃えて囃し立て、女たちもそれ

に和する。
    
    「何だよー、みんなして」メライケが頬を膨らませる。賑やかな笑い声が、赤や

黄に染まった木々の葉の間を抜け、秋空に吸い込まれる。

    「あっ、ヤマブドウだ」

    「アケビもあるぞ!」

   子どもたちが嬉しそうに声をあげた。

    「遠くに行くんじゃないよ」という母親の言葉を背に、一斉に薮に飛び込み、我

先に熟したブドウの房を選んで口に詰め込む。

    「うっ、酸っぱい!」

    「オレのは甘いぞ」

   皮の割れたアケビから実を取り、薄い果肉を舐って、種を吐き出す子もいる。

    「アケビの皮は捨てるんじゃないよ!ちゃんと袋に入れて。薄切りにして獣の

油で炒めると、男たちが喜ぶからね」  (この章続く)