雪の林にキタキツネ


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   一週間前に、能取湖畔の林を行くキタキツネに会いました。冬は美幌川土手でも

せせらぎ公園でも姿を見なかったので、今年になって初めての出会いです。肉食動

物ですよね。冬眠しないのだから、雪の季節でも食べなければ。エサはウサギや

ズミなどでしょうか。


                            小説 縄文の残光 11

                                            
                                                   逃 散(続き)
 
     徴発され、軍役や労役で陸奥や出羽に行った者の噂では、郷人(さとびと)

  数が足りないので、主人から逃れた奴婢や、逃散してきた百姓を受け入れる郡

  があるという。それに、税の負担が少ないとも、囁かれていた。

      トクシもかつて力役に取られ、伊冶(これはり)城の造作現場で働いたことがあ

  る。そのとき知った柵戸のくらしは、噂と違い厳しかった。庸調は下野に劣らず重

  く、エミシに饗給する物資の負担があり、頻繁に軍役・城柵造作・金採掘に徴発

  される。

     親しくなった俘囚(ふしゅう=恭順したエミシ)から、ヤマトに帰属していない荒エ

  ミシ村の様子も聞いた。その俘囚の言うとおりなら、賦も力役もない。男は好きな

  ときに狩りや漁に出かける。女や年寄りは稲や粟を育て、山菜やキノコ・木の実

  を集める。さまざまな食べ物があるので、稲が不作でも飢えることはない。戦さえ

  なければ、のどかな日々のようだった。だからトクシは、柵戸になるつもりはなか

  った。荒エミシの村に住もうと、心に決めて郷を出た。家族とともに、潅がい稲作

  と身分制度の社会を捨て、縄文文化の遺風が色濃く残る部族社会に入ろうとし

  ていたのである。(この章続く)