冬枯れ
デジモナさん、節食と運動によるカロリーコントロールはほんとうに、「修行」あるいは「苦行」ですよね。今日
の「食の話題」は、その理由を説明するある仮説を。
は氷雪の季節が始まっているようです。途中に見た網走の森は、白くはなっていないけれど、木々はすっかり冬
枯れのたたずまいでした。わずかに、梢に残る唐松の葉と実だけになったナナカマドの、明るい色彩が目立つだ
っています。
食の話題 3 過食は依存症?
わたしたちに「おいしそうだ」と思わせる食品には、たいてい脂肪や糖分が多めに含まれていま
す。脂肪は高カロリーで、糖類は最も吸収されやすい分子です。しばしば食物が欠乏する狩猟採
取の時代には、そういう食物が得られたときに飽食することが、生存に有利でした。数百万年続い
た狩猟採集の時代に、「おいしさ」の本能が進化したと思われます。「おいしい」と感じるのは、脳内
に快楽物質であるエンドルフィンなどが放出されるからだそうです。満腹すれば快楽物質の量が
元に戻ります。「日経サイエンス」12月号の食についての特集で、一つの記事が、肥満した人の食
べすぎる理由を次のように説明しています。
食べると腸から食欲抑制ホルモン(レプシンやインシュリン)が出て、脳内快楽物質の誘発を妨
げ、おいしくなくなるから、食べるのを止める。肥満体の人は食欲抑制ホルモンの血中濃度が高
い。その理由:快楽物質への感度が低下していて、なかなか快の感覚が得られない。満足できな
いので、エンドルフィンなどが出続けて、それを抑制するホルモンも増える。快楽物質への感度が
低いと満足できないので食べ続け、過食がさらに感度を低下させるという悪循環に陥る。その
メカニズムは、アルコールや薬物への依存症と同じ。意志や自制心で抜け出すことは困難。
薬物依存症患者は、意志と自制心だけで依存から抜け出せとは言われませんよね。脱出しよう
と決意すれば、薬品などを用いた医療支援が提供されるでしょう。だけど、肥満・過食はそうなって
いません。本人の意志が弱いだけだと、非難されたりします。薬物依存の危険性は周知され、薬
物使用は規制されています。「おいしい物」は逆です。広告やグルメ情報が溢れ、よりおいしい物
の作り手は賞賛されます。その一方でメタボはヤバイとか言われるのは、こんな状況に似ていま
せんか。子どもの目の前に、「おいしいよ」と言いながらチョコレートを突き出し、「だけど肥るから
ダメ」と、食べさせない。