もう一度エゾリス
デジモナさん、230年以上経った石像は、さすがに顔がのっぺりしているような。固いはずの石も、風雨の浸食
には敵いませんね。
静かに森を歩くと、エゾリスが発する音に気づくことがあります。チッという一声だけの鋭い鳴声が何度か聞こ
えたら、立ち止まって耳を澄ませます。爪が木肌でたてるサササササという音の方へゆっくり首を回し、所在を
確かめてカメラを向けます。幹を伝う上下方向の移動は、木の裏側へ行かなければ、何とか撮れます。しかし、
高い梢での、枝から枝へのジャンプは、カメラに捉えられたことがありません。
エゾリスの自己防衛行動は静止です。こちらの接近に気づくと、近くに飛び移る枝がないときは、ぴたっと静止
します。そのまま20分でも30分でも微動だにしません。音や動きを追った後に静止した場合はわかりますが、姿
を確認する前に音を断って静止されたら、まず所在はわかりません。
こちらが足を動かさなければ、ときどきチラッと目が合っても、近くで遊んでいてくれます。この日は20分ほど、
見つめたり撮ったりしたでしょうか。その間一匹は枝から枝へ飛び移って姿を消しました。二匹は高い梢で静止
に入りました。この一匹だけはいつまでも付き合ってくれそうでしたが、わたしのほうで切り上げました。