窓の氷模様
窓ガラスにできる氷の模様は形が雪片に似ています。でもずっと大きい(最小でも2,3センチ)ので、雪片が貼り
付いて凍ったのではないでしょう。水蒸気が凝結するときのメカニズムに共通なところがありそうです。それぞれ
の模様で、放射状の比較的太い筋からより細かい枝が出ているのは共通ですが、工業製品とちがって、細部ま
では同じ形になりません。似ているけれど同じではないというのが、自然にできる形の特徴のような。メカニズム
の基本は物理的な説明や数式化ができても、微細な偶然やカオスが作用して、細部は限りなく多様化するので
しょうね。
工業製品は偶然やカオスをできるだけ排除して、均一に仕上げようとします。わたしたちの体や心は人工物で
はないので、大まかにはヒトとしての構造を共有していても、細部は多様です。それは、遺伝子や環境に還元で
きない微妙な偶然やカオス的な過程が働いて、一人ひとりが出来上がるから。窓の氷模様も人も、多様だから
おもしろいし、いとしい。どちらも、輪郭がぼやけたり画一性が強かったりすると、あまり興味を惹かれなくなりま
すよね。