オンネトーのエゾシカ


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 オンネトー湖畔の国設キャンプ場は森のなか。開けた場所には8月の陽光が降り注いでいたけれど、ここはう

す暗く、テントを設営している母親のそばで子どもが指さし騒いでいなければ、わたしもシカに気づかなかったで

しょう。フラッシュなしで撮ったので、判別できるかできないかぎりぎりのところでした。この五枚は何とか絵柄が

わかります。


橋下現象の危険なにおい ②
 

 橋下さんは典型的な新自由主義者のようです。新自由主義は、出世意欲旺盛な人たちが精力的に資産

形成・地位上昇活動を展開する上で、じゃまになるものを排除するために築かれた理論的枠組みだと思い

ます。新自由主義者はたいてい、厳しい競争に勝ち残る意欲の乏しい者が負け組みになるのだと考えま

す。才能と努力で勝ち抜いた者が報われるのは当然だ、と。 彼らが設定した「自由競争」のゴールは所得

と地位。社会的には企業の短期利潤の増大と公的部門の効率化・トップの権力強化です。より多くそれに

貢献した者が勝者で、貢献度の小さい敗者は勝者の指揮統制に服さなければならない、ということになりま

す。口惜しかったら競争に挑んで勝ち抜けばいい、そういう活気が社会を繁栄させるのだ、と。

 新自由主義運動の中心的な担い手は、政治、経済、法律、言論、大学や、その他の専門業界で、指導的

な地位にある層(エスタブリッシュメント)と、より下層から成り上がった少数の成功者だと思います。橋下さ


んは後者です。父親は部落出身の暴力団組員で、彼が幼いころに離婚し、その後自殺しています。母親

が苦労して彼とその妹を育てました。彼は地元の公立小・中学校から公立の進学高校に入ります。一浪し

早稲田大学政経学部に進学し、学生時代に事業を始めます。そのとき不渡りをつかまされた経験から

法曹を志したのだそうです。大学卒業の年に司法試験に合格し、やがて弁護士を始めます。苦労して成り

上がるなかで獲得した自負心と人生哲学が、彼を新自由主義に導いたのだと思います。

 新聞や週刊誌に報じられた彼の言動から、わたしは彼がこう考えているような気がしました:障害者や被

差別民など、明らかに競争に対してハンデがある人々は手を差し伸べられるべきだ。しかし、競争に挑む

勇気や努力に欠けている人々は救済に値しないので、管理され指図される地位に甘んじるのが当然だ。彼

らは、高い地位にまで勝ち上った人々に敬意を払わなければならない、と。ハンデを負わされている人がい

るという認識がある点では、エスタブリッシュメントの、下層の人々にまったくシンパシーのない坊ちゃん嬢

ちゃんとはちがうようです。しかし、彼が認める勇気や努力の基準はどうやら彼自身。〈オレは恵まれている

とはいえないところからここまで来た。そういう冒険や努力を避け、まるで権利みたいに救済を求めたり、上

司の自分と対等な口をきいたりするヤツは許せない〉、ということでしょうか。

 彼は著書のなかで、「ルールをかいくぐるアイディアを絞り出すことこそ、いまの日本にとって一番必要な

んじゃないか!」 (橋下徹「まっとう勝負」』 小学館 208)「明確なルールのみが行動の基準であって、


明確なルールによる規制がない限りは何をやっても構わない」(210)、「ルールの隙を突いた者が賞賛


されるような日本にならないと、これからの国際社会は乗り切れない」 (211)などと述べています。彼


の理想が実現したら、とんでもなくせちがらい世の中になるでしょうね。倫理とか、良識とか、穏やかな幸せ

とか、睦み合うくらしとか、知的好奇心とか、美しいものを楽しむとかは、「負け組み」のたわごととされ、わ

たしのように出世欲のない者は、身の置き所がなくなりそうです。(明日に続く)