荒野を飾る白い花


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 温根内の釧路湿原ビジターセンターから湿原のなかに入る道は、南行して釧路市展望台に至る軌道敷跡と、

それに並行してほぼ北から南にのびる木道の二筋。木道は2キロほど先で右に折れ、湿原を横断して軌道敷跡

に合流します。もう少しセンターに近いところにも2本、南北方向の木道と軌道敷跡を結ぶ横断木道があります。

今日の写真は、霧雨で煙る日に、最奥の横断木道から左右の湿原を撮ったものです。このあたりはあまり潅木

がなく、草の下部を浸す水も溜まっていません。スゲ・カヤなどが視界を遮るほど伸びる前にここを歩くと、頭に

「荒野」という言葉が浮かびます。

 背の高い草木も人工物もなく、ある程度の広がりがあって平坦、本州でそんな場所は見た覚えがありません。

それで比較する対象は昔々読んだシャーロット姉妹の小説の場面ということに。もともとムーア(荒野)は、ほとん

どヒースしか生えていないイギリス北部やアイルランドの原野を指す言葉だったのでしょうね。泥炭質の地面に

背の低い潅木がはびこるだけの荒涼とした原野が、ヒースの花が咲く時季だけはなやぐ、そんなイメージで記憶

に残っています。

 ヒース(和名はエリカ)の花は赤や紫を中心に多彩なようですが、6月19日に釧路湿原のこのあたりで目にした

のは、白いイソツヅジとワタスゲでした。もう少し早ければピンクのヒメシャクナゲが咲いています。6月半ばでも

木道が通る他の場所には、カキツバタ、ミツガシワ、ハナタネツケバナなど、他の色彩もあります。でもこの日こ

のあたりでは白だけでした。