枯れ草色の湖畔
11月5日 濤沸湖畔
初冬の湖畔は枯れ草が広がるばかり。突然飛び立った水鳥の群れが彼方の
空へ消えてしまえば、背後の国道を疾走する車の音しか聞こえません。岸を雪
が覆い湖面に氷が発達すれば、氷の模様、輝く白銀の起伏、響くオジロワシの啼
き声などに、目や耳が惹きつけられます。だけどいまの、枯れ草色が広がるばか
りの湖畔は、漠として手ごたえがありません。
気温も今はあいまいです。零下二桁台になれば、寒さに押しつぶされまいと体
が反発します。むしろいまの、零度前後の野外や20度そこそこの室内のほうが、
寒さを意識させられます。体に秋の記憶が残っていて、気持ちが変化に受け身に
なっているからでしょうか。