能取岬11月
先週のよく晴れた日です。能取岬は明るい陽光が溢れ、青い海に白い波が走っ
ていました。子どものころ3年間、日本海側の海辺の町でくらしたことがあります。
晩秋から冬にかけ、海は暗く、10メートルを超す海水の壁が立ち上がっては崩れ
ていたような。記憶の海に比べると、晴れてさえいれば、オホーツク海の景観はあ
あくまで明朗です。
低気圧が来ると一転して荒寥とした冬の雰囲気になります。そして、こんなによく
晴れていても、岬の風は冷たく、11月の初めなのに指先が凍えます。この日崖際
は背の高い枯草の茎に占められていましたが、内側の緑残る草叢では無数の赤ト
ンボが。残されたわずかな時間のうちに子孫を残そうと、懸命に相手を求め、番っ
ていました。