緑濃い野付半島
は花と緑に覆われます。花が目立つ場所もありますが、今日の写真は水と緑が主
役です。
小説 縄文の残光 111 最終回あとがき(続き)縄文人については、戦傷跡を残す人骨は、ほとんど出土していないという。わ
ずかに見つかった矢傷の跡は腰あたりに集中しており、獣を獲る仕掛け弓による
ものではないかと考えられている。狩りでなく戦争に特化した武器や、防御性施設
跡は、発見されていないようだ。
南北に移動可能で、野生食用動植物の種類が多い列島の自然環境が、高度
な文化を育んだのだろう。縄文土器の芸術性は、世界の考古学者に高く評価され
ている。新石器時代狩猟民の、同様に高度な文化は、北米北西部海岸地域の先
住民文化を除いて、他に例がないらしい。
縄文文化を賛美し、その精神が底流として現在の日本人にも続いている、とい
う類の言説を目にすることがある。だが現実には、縄文的精神は弥生文化起源
の国家文明に吸収され、変質してしまったのだと思う。縄文語が弥生系言語に取
って代わられたように。縄文的精神を蘇えらせるには、情報化で広域化した現代
文明と接合できる道を見つけ、意図的に再生させるしかないのだろう。
(あとがき終わり)主な参照文献古代史と考古学関係日本史年表 河出書房新社日本史年表 増補四版 東京学芸大学日本史研究室『日本古代史』①-⑥岩波新書『日本社会の歴史』上・中 網野義彦 岩波新書『地図で見る東日本の古代』 平凡社『人口から読む日本の歴史』鬼頭宏 講談社学術文庫『古代道路の謎』近江俊秀 祥伝社「日本服飾史」 ウエブN o.74.2004 ウエブ「岩手県西根村谷助平古墳」 草間俊一 ウエブ「天間林村史古代」 七戸町 ウエブ東北エミシ関係未開部族に関する文化人類学的資料『会話の人類学』菅原和孝 京都大学学術出版会『ヤノマミ』国分拓 NHK出版『銃・病原菌・鉄』上・下 ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰訳 草思社『文明崩壊』上・下 ジャレド・ダイアモンド 楡井浩一訳 草思社『昨日までの世界』上・下 ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰訳 日本経済新聞出 版社縄文文化関連[小説・縄文の残光を終わります。最後までお付き合いいただいて、ありがとうご ざいました。]