流氷の置き土産
デジモナさん、護国神社の桜、いい雰囲気ですね。わたしは寺社や仏像のもつ、
超越的なものへの畏怖みたいな情緒が、かなり好きです。でも死者の居所は生者
の心の中だけで、両者の関係は完全にプライベートなもの、と思っています。
硫黄山はウチから車で3、40分といった距離でしょうか。
網走の気象台は3月26日に、海明けは7日だったと発表しました。海明けとは、氷
量が視界の五割以下になって、船舶が安全に航行できる水路が開けた日ということ
です。もう氷海に戻らないと見極めてから、さかのぼって日付が発表されます。
海明け後には全く氷がなくなるというわけではありません。この日も孤立した氷塊が
後に残されていました。風次第でその数が増えたり減ったりして、遅くとも五月には
完全に姿を消します。
大きさも形も様々です。岬から眺めると距離があるので小さく見えますが、近づくと
小型船舶ほどの大きさだったりもします。面白い形もあります。矢じりみたいに尖って
いたり、鑿の刃先のようになっていたり。毎年春先、去りゆく流氷の置き土産を見に
行くのも、わたしの楽しみです。