いつになく早く積もった雪が、あちこちで消え残っている。公園の広場にも階段脇
にも、そして河川敷にも。4月の、冬が終わろうとする時季にも似た光景はある。だ
が、歩いてみるとそのころとの違いが分かる。地面は固く凍り付いて、足に強い抵
抗を伝えてくる。河川敷の轍跡は、凹凸が大きめの礫のようで歩きにくい。少し緑
を残す草叢に踏み込めば、凍った草株がサクサクと砕ける。明るい陽射しは4月を
思わせるが、あくまで本格的な冬に向かって、季節は深まろうとしている。冷たい川
風に耐えかね、わたしは帽子の耳覆いを下して歩き続けた。